4がんの痛み治療をもっと広げましょう
“がん” は決して他人事ではありません
男性、女性ともに、おおよそ2人に1人が一生のうちにがんと診断されると報告されています(2013年の罹患・死亡データに基づく)。男性ではおおよそ4人に1人、女性ではおおよそ6人に1人ががんで亡くなると報告されています(2016年の死亡データに基づく)。
がんの痛みは、“がん”と診断された時点で既に30%の方に出現していると報告されています。
“がん”が進行すると60%に痛みが現れ、末期では75%の方に痛みが現れるといわれています(図:がんの進行と痛み発生の関係)。そして、その痛みの約80%の方には強い痛み(中等度から耐え難い痛み)が現れるといわれています(図:がんの痛みの強さ割合)。
わが国でのがんの痛み治療の実施状況
がんの痛み治療法は既に確立していますが、残念ながら我が国では、がんの痛みを経験した患者さんのうちの64%の方々には、痛み治療が行なわれていませんでした。
痛みがあれば、痛み治療を行ってもらうように訴え続けることが大切です。
世界から見た日本の「がんの痛み治療」
国別の“がんの痛み治療”の実施状況を比べる指標として、医療用麻薬の消費量の比較が用いられます。
がんの痛み治療には、医療用麻薬だけが使用されるわけではありませんが、それぞれの国での痛み治療実施状況をおおざっぱにみることができます。この図からもわが国のがんの痛み治療が各国に比べて遅れていることがうかがえます。
まとめ がんの痛み治療の現状
がんの痛み治療は既に確立しています(WHO方式の痛み治療)。しかし、わが国では痛み治療が十分に行われていないというのが現状です。がん患者さんはもちろんのこと、がんを患う可能性のある全てのみなさんが “がん治療”だけでなく、“がんの痛み治療”の正しい情報を知ることで、医療者に適切に痛みを訴え、痛み治療が行われます。
そのためには、“がん”と診断されたとき、“がん治療(手術や抗がん剤治療など)”と同時に、“痛み治療”のことをお訊ねいただきたいのです。痛みは私たちの正しい判断をゆがめるばかりか、苦痛によって意欲もおとします。早めに痛みを取ることで、がんと向き合える体制を整えることができると、私たちは思うのです。